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5青春小説 学園物

「うんとうんと」
「うんとじゃない」
「お米」
「お米、ま、いい 稲作だ。よくできた。座っていいぞ」
近藤幸子はガッツボーズを取りながら座った
「それじゃ稲作が行われて、なにが生じたかな。そうだな青木弘。わか
るか」
青木は立ち上がり、困った顔をして、考えた
「難しいか」
青木の右隣の女生徒がこっそり教えた
「貧富の差です。身分」
「その通りだ、青木、偉いぞ」
大きく褒められたのでななんとなく照れくさくなった青木は、
「あの教えてもらったんですけど」
と白状した
「いいか、青木、教えてもらえることはすばらしいじゃないか、君に徳
があるからだ。徳があるから教えてもらえるんだ。そうだろう」
照れくさそうに頭をかきながら座った青木は、女生徒のほうを向き、
にやにやした。
女生徒はちらっと青木のほうを向き、ツンとノートに向かった

授業終了のチャイムが鳴った
「最後にいいたいことがある」
と彼は生徒を見渡した
「なんだよ、はやく言えよ」
と片付ける音と共に聞こえた
「レスリング部をつくることになった。我こそはと思う人は挑戦しても
らいたい」
生徒のみんなは片付けるのに忙しくて聞いているのか彼には判断しかねた

(六)

彼は職員室に戻り、安本の自宅に電話をかけた。三回、四回、誰もでない。十回鳴らしても反応はない。彼はいったん切ろうと思ったとき、女性の声がした。落ち着いた丁寧な口調である。
「安本の家でございます。どちらさまでしょうか」
あの安本の母の声ではなかったので、恐らくお手伝いさんか何かだろうと彼は察した。女性の丁寧な言葉使いにつられて、
「私、安本君の担当の上高地と申します。実はですね。安本君本日学校
休まれてる模様なんですけども。どうなさってるのかなと思いまして
電話をおかけした次第でありまして」
と丁寧になっていた。
「少々お待ちください」
と女性の声と同時に受話器の置く音が聞こえ、しばらく沈黙が続いた。
「お坊ちゃまは気分がすぐれないご様子でございます」
「そうですか。それじゃお大事に」
そう言いながら彼は受話器を置いたが、仮病の疑惑は拭い去ることはできなかった。
彼は放課後安本の家へ訪ねてみようと思った。

放課後になり、職員室に戻った彼は、地図で安本の家の場所を確認し、
職員室にいる先生方に、
「お先に失礼します」
と片付けながら職員室の扉を開け、
「まぁ、そんなに気負わんでがんばりたまえ」と
と校長の声にお辞儀をして、職員室を後にした。

安本の家は学校から坂を下り、新興の住宅街を抜けた、公園の近くにあった。彼が通り抜けた新興の住宅街よりあきらかに広く、呼び鈴を探すのに数分を要した。
広い門の横にある呼び鈴を鳴らすと、あの女性の声で
「どちらさまでしようか」
と丁寧な口調である
「私、担当の上高地です」
しばらくして、女性がでてきた。
「一度安本君とお話したいと思いまして」
女性はこちらでございますという感じで彼を安本の部屋まで案内し、
「お坊ちゃま、具合はいかがですか。先生がお見えになりましたよ」
とドアの扉を叩いておっしゃった。
「ありがとうございます」
と彼は頭を下げた。女性はお辞儀をして、立ち去って行った。
「おい、安本、気分が悪いなんて嘘だろう。話しようや、なぁ」
中から反応がないので彼は、
「開けるぞ」
と取っ手に手をやり、まわしてみたが、開かなかった。
「おい、開けてくれよ。いるんだろう」
しばらくの沈黙の後、
「うるせいな、帰れ」
と安本の声と同時に、何かドアにあたる音が聞こえた。
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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