スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

4 青春小説 学園物

(四)

夕日はほとんど沈みかかっていたが、公園はその夕日の赤い光を浴びて
幻想的な雰囲気だった。
桜の木々が風に揺られあたかも歓喜の歌を奏でているようだ
彼は誰もいない公園のベンチにユカリと腰掛けていた。
あまり近づくのもどうかと思い、拳二つ分くらい離れて腰掛けた。
「私、いつもここに来るんです。ここにくると落ち着くんです」
と彼女は遠くを見つめながら言った
「ほんとに綺麗だ」
と彼は言い、続けて、ユカリさんあなたもとても綺麗だと、言いかけたが、それは止めて、彼女のほうを見た
「今日はほんとに先生大変でしたわね」
と彼女は彼のほうを向いて言い、続けてこう言った
「あの子、孤独なんです。去年私があの子の担任だったんですけど
あの子のおかぁさんは宝石の売買なんかしていて、ずいぶんとお金もちなんです。いつも忙しくてあの子はいつも一人ぼっちなんです。だから
あの子のおかぁさん。お金さえあげとけばいいと考えてるんです。欲しいものはなんでも与えられ。我慢することができない我儘な子になってしまったんです。よく学校は休みますし、たまに出てきても問題をよく起こしますし。手を焼いているんです。先生はあの子のおかぁさんに責められたそうですが、先生がはじめてじゃないんです。私が知るだけでも二三回はあったと思います。あの子のおかぁさんがうるさいからみんなあの子には手出しできないんです」
「そうだったんてすか」
と彼は言い、あの子の将来のためにもなんとかしなくちゃいけないと思った。
「私、ちょっとコーヒーでも買ってきます。先生は何がいいですか」
と彼女は立ち上がった
「僕もコーヒーで」
彼女が歩いて行った後、彼は公園にあった鉄棒で懸垂を始めた
一回 二回 三回 太い腕が盛り上がり、その逞しさは、ギリシャの彫刻
を連想させた。
「すごいですね」
彼女の声に慌てて鉄棒から降り、コーヒーをもらい、ベンチに腰掛けた
「何かスポーツされてたんですか」
「ええ、レスリングを中学のときから最近まで」
「レスリングって気合だーの」
「そうです。あの気合だーです」
「レスリングはもうやらないんですか」
「やりたいんです。レスリングの楽しさをみんなに教えたい」
「うちの学校レスリング部ってないですからね」
「知ってます。残念です」
肩を落とす。彼のほうを見て、彼女は
「そうだわ」
と手を叩き、
「創設すればいいんです」
と彼に同意を促すように言った
「それがいい。そうしましょう。この学校のレスリングの歴史を我々が
築くんです」
そう言って彼は彼女の手を握り締めた。少し力が入ってたのか、
「痛い」
と思わず発する彼女の言葉に
「すいません」
と彼は慌てて手を離した

(五)

チャイムが鳴り、ざわざわしている教室の中に入ってきた彼は
「静かにしてみんな席につこう」
と言う落ち着いた声でいった。机を叩かなくてもみんな素直に席に着き
静かにこちらを注目している生徒たちに彼は満足していた。
起立、礼、着席のいつもの挨拶を交わし、出欠を取った。
「安藤 進」
「はい」
「安本勉」
返事がなかった
「安本は休みか、誰かきいてないか」
「しらねぇよ、そんなやつ」
という生徒の声が聞こえた
「みんな友達じゃないのか」
沈黙が続いた。
「ま、いい それじゃ授業をはじめます」
と黒板に大きく弥生文化と書いた
「いいか、みんな弥生文化は弥生式土器と何が行われた」
彼は生徒を見渡し、出席簿を見ながら、
「はい、近藤 幸子。これは簡単だろう」










スポンサーサイト

テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

Comment

Comment Form

管理者にだけ表示を許可する

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。