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12 青春小説 学園物


二人が入った焼肉は牛肉の店で鉄板で焼く。週末であるせいか、店内は適当に混んでいて、店員の威勢のいい声が飛び交っている。
「先生、あまり焼かないんですね」
とゆかり先生は言ったので、そうかなといった感じで見ると、彼の焼く肉はまだ赤く血がしたたっている。
「僕はあまり焼かないほうが好きなんですよ。ライオンなんか生で食べるでしょう。だからあんなに強い。あまり焼くと肉のエネルギーが損なわれるんですよ」
彼の口から血がしたたり落ちていた。
「野蛮なんですね」
彼はゆかり先生のその言葉に反応した。幻滅されたかも知れない。そう思った彼は慌ててこう言った
「すいません、気をつけます。もう少し焼いたほうがいいですよね」
「そんなことありませんよ。男らしくていいじゃありませんか、私もレアで食べてみよう」
と言ってゆかり先生はまだ赤みが残る肉を食べた
焼肉を食べはじめて一時間と少し経過したころ、二人の楽しそうな会話を中断するように彼の携帯がなった
「もしもし上高地です」
周りの騒音のせいか電話の声が遠かったので、彼はトイレに行き、確認した。
「大変です。先生」
教頭先生の声であった。
「どうしたんですか」
「安本君が暴れて喧嘩して大怪我して病院に運ばれたんですよ」
彼は病院の名前を聞き、ゆかり先生とタクシーで言われた病院に向かった。
病院に着くと、校長先生と教頭先生がいた。
「安本はどこに」
と彼は聞いた
「安本君は今治療してます」
と教頭先生は答えた。
「安本君のおかぁさんはどこに」
とゆかり先生は聞いた
「おかぁさんの会社に電話したんですが、今不在といことで」
と校長先生は答えた
「具合はどうなんですか」
とゆかり先生と彼はほぼ同時に聞いた
「大したことはないそうですが」
と教頭先生はそう言って、神妙な面持ちで校長先生と目を合わせ、うーんと考えこんでしまった
その並々ならぬ気配を感じとって、
「どうしたんです。何かあったんですか」
と彼は慌てて聞いた
「校長先生おっしゃって下さい」
とゆかり先生も促した。
「まさかこんなことに」
教頭先生は困り果てた顔になり、校長とまた目を合わせ、校長が頷くのを確認して、
「実は、安本君 薬やってたらしくて」
と言って、口をつぐんでしまった
「薬って、まさかうちの生徒が」
ゆかり先生は信じられないといった感じで彼に向かって言った
「今、安本はどこに」
と彼は聞くと、校長先生は治療を受けた後、三階の病室で横になっていると言うので、ここは私たちに任せて、校長先生と教頭先生は夜も更けてきたのでお帰り下さいと言い、二人は病室に戻った。
9時の時報が鳴った
二人は中に入ると若い看護婦がいて、安本は眠っていた。
看護婦は外に出ようとしていたが、踵を返し、
「あの今彼のおかぁさんに電話つながったそうです。もう30分もすれば到着するそうです」 63
と頭を下げて、病室を出て行った。
彼は安本の近くに腰掛けた。安本は目を覚まし、彼を見た。
「なんでこんなことになるんだ。何があった」
頭に巻かれた包帯に血がにじみ、痛々しかった
安本は黙っていた。
「薬やってたそうじゃないか。なんで薬なんか。そんなことするとどうなるかわかってるだろう」
「うるせいな、どうなってもいいんだ」
吐き捨てるように安本は言った。その言葉から彼は安本の大きな心の空洞を読み取った。
「どうなってもいいことないわよ。安本君」
傍で立って聞いてたゆかり先生は声を荒げるように言った
「安本、お前もうこんなことにエネルギー使うな。治ったらレスリング部に来い。レスリング部に来て、俺にぶつかってこい。お前は悪いやつじゃない。寂しいだけなんだ。そうだろう」
安本の目がどことなく潤んでるのを彼は確認した。


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テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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